カテゴリ:エセーのせかい( 24 )

私の生きものがたり

私の生きものがたり

HANA

いま、最も大切なのは、新たな時代の《想像力》ではないか?

雛祭りも過ぎる弥生の佳き日、はたちの猫、ナナちゃんと和やかな時を共有した。百年もの歳月を経た、雛調度と箪笥の見守る、ゆるやかな時の流れの中、籐椅子で過ごすはたちの猫の姿形から、受け継がれてゆく家族の歴史を彷彿とさせた。

そんな新春の或る日、命の絆の大切さを気づかされる象徴的な出来事があった。

2017323日(木)、秦野のギャラリーぜんでひらかれた「俺の丹沢」を見にゆく。とりわけ印象に深く刻まれたのは、丹沢の山あいの道に現れる「鹿」の写真だった。

それは、のどかな里山のほのぼのとしたワンシーンかのように見えた。しかし、話を聞くと、丹沢の鹿の数が激減している。貴重な山の植物を食い荒らすので、猟銃で撃たれて駆除されているという。

森は手入れされず、荒れ果てて、鹿も居場所を失い、食べ物がなく里へ降りてきて、農作物を荒らす害獣になっている。もし、人に危害を加えたらという危惧から、熊も簡単に射殺されている。あまりにも粗雑な、杓子定規な対応に唖然とする。

秦野の山間でも、第二東名建設のため、山が切り崩され、懐かしい里山の風景が、跡形もなく消えてゆき、鹿もやはり駆除されてという。

時を同じくして、巨大霊園建設のため、渋沢丘陵もすでに破壊されてしまった。

最近の開発に、ある種の空虚なトーン、リアリティのなさを感じるのは、私だけだろうか。

それは、私たちの生きる時代の《想像力》の衰退を物語るエピソードではないだろうか?

美しき花の舞台では、今日も蜘蛛と蟻の命のドラマが繰り広げられている。

田舎家の台所では、猫とねずみのいたちごっこが展開されている。

畑の葉っぱの上では、群生する毛虫と追い払う人間の手の駆け引きがされる。

丹沢の麓では、不意に現れる狸のユーモラスな姿がペーソスを誘う。

忠実な番犬に、子どもが咬まれて、命を落とすこともある。いたずら好きの猫と遊んでいて、引っかき傷に皮膚科へ走ることもある。

そんな時でも、見境なく犬、猫を駆除しようという企ては聞かれない。命の絆の大切さに私たち人間は気づいているのだ。

熊や鹿が里山に出現しても、大丈夫であるような、より丁寧な自然とのかかわりが必要ではなかろうか。

里山は、そこに暮らす生き物たち、熊、鹿、狸にとって住み心地良い時、実は人間にとって住み良い環境になるのだ。

命の絆を大切にする《想像力》こそ、今、切実に求められているのではないだろうか?

ナチュラルライフアート写真

わたしと小鳥とすずと―金子みすゞ童謡集

金子 みすゞ/JULA出版局

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大漁

朝やけ小やけだ

大漁だ

大ばいわしの

大漁だ。

はまは祭りの

ようだけど

海のなかでは

何万の

いわしのとむらい

するだろう。

金子みすず童謡集 『わたしと小鳥とすずと』から



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by lotusflower7 | 2017-11-15 16:25 | エセーのせかい | Trackback | Comments(0)

あなたの10月の思い出

私は、10月31日、平塚の花菜ガーデンに行ってきました。秋晴れの庭園に香り豊かな、美しきバラが咲いてました🎵
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特色豊かな薔薇が、湘南の街角の行き届いた季節感溢れる庭園を散策しながら、見学できます。チェコの園芸家、カレル・チャペックの家と庭のイメージを呼び覚まします。

富士山を眺めつつ、家路を帰り、秦野の「Fleur HANAMOTO」で小さな冬の薔薇を見つけました。
季節の花彩るwindow
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とてもおしゃれな雰囲気で、フリージア、スターチースなど、季節を彩る花を魅せる、素敵なスポットです。
庭先に植えた薔薇が、10月はたそがれの国の、良き思い出となりました。
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11月16日の朝は、ひときわ寒く、冬の薔薇にも露が降りていました🎵
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by lotusflower7 | 2017-11-13 19:34 | エセーのせかい | Trackback | Comments(0)

    東京・代官山ログロードをゆきかう人々は実に多彩で、ヨーロッパはもとより、アラブ系など、キリスト教文化圏からイスラム系まで、思想・宗教もさまざまで、ニッポンも今や、多国籍社会に移行したかに見える。 

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      久しぶりの、東京・代官山の未来派的都市空間の渦中、アートラッシュのミニチュアの世界へと、時空を超えて、こころの旅しました。



        東京・ログロード代官山の、ちょっとふしぎなアートの世界を想わせる、赤いくつ下のある風景は、いったい何を呼び覚ますでしょうか。










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by lotusflower7 | 2016-11-21 16:56 | エセーのせかい | Trackback | Comments(0)

アイヌ神謡集

知里幸惠の『アイヌ神謡集』を紐解いています。

梟の神の自ら歌った謡
「銀の滴降る降るまわりに」
の神話的世界に惹き込まれます。

繰り返し語られる
昔貧乏人で今お金持ちになってる者
というフレーズが象徴的です。

貧しいものが、コツコツ日々、努力して長者になる
話は、日本の昔話でもよく語られました。

今も、昔は貧しかったが、懸命に必死に生きて、競争に打ち勝って、夢をかなえ、大企業経営者になる

そんな『生き方という本に、大衆は感動し、見習おうという人も多いでしょう。

まさに
昔貧乏人で今お金持ちになってる者
の成功物語です。

かの大企業経営者の人生哲学が、臆面もなく語られた『生き方から
彼の本音

今、貧しいものは、怠けていたからだ、自業自得だから、助けなくていい。

がありありと伝わってきます。

しかし
知里幸惠の『アイヌ神謡集』では

昔貧乏人で今お金持ちの子は、望みかなって、
今、貧乏人の子を、大笑いし、こころのへだて作り、
争いやまず、平穏とは遠い、人間の国となる。

今の日本という国に生きる人たちの心模様でしょう。

神様の鳥を射当てたものは、お金持ちになるという望みをかなえるのでなく、
お金持ちも貧乏人も、へだてなく、平穏に暮らし
みんな仲良くすること
というを望みをかなえる。

梟の神の望む人間の国のすがたです。

今の時代も変わらず大切なことが、そこに語られていると思います。

アイヌ神謡集
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by lotusflower7 | 2016-09-03 22:48 | エセーのせかい | Trackback | Comments(0)

「新明解国語辞典」の、俗人の定義が、まさにリアルすぎて、面白い。


①高遠な理想を持たず、すべての人を金持と貧乏人、知名な人とそうでない人とに分け、自分はなんとかして前者になりたいと、そればかりを人生の目標にして・暮らす(努力する)人。

②天下国家の問題、人生いかに生きるべきかということに関心が無く、人のうわさや異性の話ばかりする人。

③高尚な趣味や芸術などに関心を持たない人。


新明解国語辞典 第4版

金田一 京助(編集),山田 明雄(編集),柴田 武(編集),山田 忠雄(編集)/三省堂

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英語のsnob

成り上がりの俗物紳士なのか、さながら日本では、「真田丸」でも話題の、太閤秀吉の姿とも重なり合う。しかし、なぜかそんな秀吉を、今も、庶民は好きなのだ。


しかし、俗人の到底できない、むつかしいえらい修行をやり遂げた高僧が、行の自慢話や、絵の値段が上がった、下がったなどの話しかせず、俗人よりもはるかに俗物ぶりを発揮するのは、人生不可解か。


「新明解国語辞典」で、俗物の定義は


「俗人」を、さらにけいべつしていう言い方。「あいつは全くのーだよ:ー性」


まさに、学窓にして庶民感覚あふれた辞書なのだ。


平安の世なら西行、鎌倉時代の兼好法師、江戸の良寛、そして近くは今も、宮沢賢治が多くの人の心を打つのは、


俗人の到底できない、むつかしいえらい修行をやり遂げた

からではなく、まさに


人生いかに生きるべきか


これひとつに真剣だったからだろう。


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by lotusflower7 | 2016-08-19 23:27 | エセーのせかい | Trackback | Comments(0)

ゲーテ格言集から

人生は、いかに平俗に見えても、またいかに日常陳腐なもので容易に満足するように見えても、やはり常に、あるより高い要求をひそかに抱き、養い続けており、これを満足させる手段を探している。

山と谷を越え、
迷いに迷いをかさねたのち、
再び広野に出るが、
そこはまたあまり広すぎて、
いくばくもなくまた新たに
迷路と山を求める。

人生は悪しき冗談なり。
ゲーテ「西東詩集」から

人生は色どられた影の上にある。
ゲーテ「ファウスト」から

ゲーテ格言集から




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by lotusflower7 | 2016-08-02 10:39 | エセーのせかい | Trackback | Comments(0)

風と光と二十の私と

風と光と二十の私と

私はいつも神様の国へ行こうとしながら地獄の門を潜ってしまう人間だ。
ともかく私は始めから地獄の門をめざして出掛ける時でも、神様の国へ行こうということも忘れたことのない甘ったるい人間だった。…
私はずるいのだ。悪魔の裏側に神様を忘れず、神様の陰で悪魔と住んでいるのだから。今に、悪魔にも神様にも復讐されると信じていた。…

坂口安吾「私は海をだきしめていたい」から

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by lotusflower7 | 2016-07-30 13:57 | エセーのせかい | Trackback | Comments(0)

どこへ向かって走るか、なんてわからない。でも、人生行路を、いっしょうけんめい走ることこそ、素晴らしい。
もし、それが人生なら…太宰治のワンフレーズが、いつもリフレインします。


……けれども、それでも走りたいのです。いのちがけで、やってみたいのです。誰にほめれれなくてもいいんです。ただ、走ってみたいのです。無報酬の行為です。幼時の幼い木登りには、まだ柿の実を取って食おうという慾がありましたが、このいのちがけのマラソンには、それさえありません。ほとんど虚無の情熱だと思いました。それが、その時の私の空虚な気分にぴったり合ってしまったのです。
 私は局員たちを相手にキャッチボールをはじめました。へとへとになるまで続けると、何か脱皮に似た爽やかさが感ぜられ、これだと思ったとたんに、やはりあのトカトントンが聞えるのです。あのトカトントンの音は虚無の情熱をさえ打ち倒します。

...

「人生というのは、一口に言ったら、何ですか」
と私は昨夜、叔父の晩酌の相手をしながら、ふざけた口調で尋ねてみました。
「人生、それはわからん。しかし、世の中は、色と慾さ」

太宰治『トカトントン』 から


ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

太宰 治/新潮社

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by lotusflower7 | 2016-07-30 13:52 | エセーのせかい | Trackback | Comments(0)

愛の狩人は 鷹に似て高きより獲物を狙う ジル・ヴィセンテ


いきなり心を矢で射るフレーズ

コロンビアのノーベル賞作家 ガルシア・マルケスの『予告された殺人の記録』の冒頭の詩である。

...

自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝、五時半に起きた。やわらかな雨が降るイゲロン樹の森を通り抜ける夢を見た。夢の中では束の間幸せを味わったものの、目が覚めたときは、身体中に鳥の糞を浴びた気がした。


ガルシア・マルケスは

まさに

人生そのものの、哀しみと怖さを、短い冒頭の一節で、呼び覚ますのだ。

それにしても、人の心に深く迫る文学のテーマが

人生の楽しみや喜びよりも、苦しみや哀しみなのは、なぜだろうか?


予告された殺人の記録 (新潮文庫)

G. ガルシア=マルケス/新潮社

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by lotusflower7 | 2016-07-29 09:47 | エセーのせかい | Trackback | Comments(0)

生き物を殺す楽しみ

生き物を殺す楽しみ


カントと同時代、十八世紀ドイツの、ミュンヒハウゼン男爵の
『ほらふき男爵の冒険』
から、
ちょっと私たち日本人の感覚からは、呆然とする

...

生き物を殺す楽しみ

が語られていました。


これは別の機会になりますが、さる結構なロシアの森で、滅法美しい黒狐にばったり出あった。その素晴らしい毛皮は、ふつうの弾であれ霰弾であれ、もし穴などあけていたら、何とも惜しく無念でありましたろう。みれば狐の大将殿のすぐそばに一樹が立っている。そこにワガハイ咄嗟に銃身から弾をぬき出したもんだ。代わりに入れたはでっかい板釘、バンとうつ、見事ワガハイ件の樹幹に、奴さんの尻尾をしっかりうちとめたのであります。そこでワガハイは悠然と近づき、猟刀をば抜くと奴さんの顔面を十字に切ってやった。そのうえで、鞭もつてさばき鮮やかに、ハッシハッシと打ちなめす、と遂に、かの美しい毛皮から中身顔面スルリとぬけ出たのであります。見るも愉快、まさしく奇蹟ともいうべき事ではありました。


生き物を殺すことを

見るも愉快、まさしく奇蹟
とゲーム感覚で楽しむ文化風土に驚きます。

そこには、殺生することへの罪悪感は全くありません。
牛や豚など家畜は、神が人間の食べ物として作ったからでしょうか?

ミュンヒハウゼン男爵の『ほらふき男爵の冒険』は、まさに、そんなヨーロッパ文化の核心が、ユーモア感豊かに、表されているようです。


ほらふき男爵の冒険 (岩波文庫)

ビュルガー(編集),Guttfried August B¨urgar(原著),新井 皓士(翻訳)/岩波書店

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by lotusflower7 | 2016-07-29 09:41 | エセーのせかい | Trackback | Comments(0)

花のまなざしから、こころに響くアートのセカイ、描きます 


by HANA