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2004年冬の日弘前のまちはいちめんの吹雪であった。駅に降り立った旅人は、大通りをイトーヨーカドーまでゆくと、いつのまにか小学校の敷地に入ってしまった。
あたりは地図のないまちに変貌し、上下左右がなく方向感覚を喪った。雪の中でまどろむ感覚はどこか甘美だった。
雪化粧のまちをWindowの中のマヌカンのような細身の女性が颯爽と歩いてゆく。
たまたま見つけた美容室で道をきいてレトロな時計台を望みつつ紀伊国屋書店にゆきあたった。あたりは静けさのなか細かい雪がちらほらと舞っていた。



弘前の冬は通りすぎるひとびとのためにまちの雪をきれいに整えてゆく。やがて澄んだ春の空気が雪を溶かす季節になると、まちはいっせいにパステルカラーに花ひらく。
スカイ・グレイ、グラス・グリーン、ライラック、ローズ・ピンク、リリー・ホワイト、ハイカラな装いが雪に洗い清められたWindowの風景にかいま見える。

時は流れて、丹沢美術館のハート展に、そんな「弘前シネマ」の写真作品三点を出展することになりました。



冬のまちはやがてくる春の予感を秘めてそこに佇んでいる。そして時を忘れたころたどり着いた煉瓦造のスペース・デネガでは雪雄子の舞踏「巫女歌」が催されていた。
2003年春「5月の塔」で幕を開けた『隙間の宇宙・星の韻』の最終章であった。

現代美術作家・村上善男の印象的なフレーズ「津軽は幻視幻想が日常的に起こりうるところです」は、ほんとうだった!
ぼわっと立ち昇る風があたりをよぎり、目に見えるこのセカイの隙間から目に見えないものが不意に姿を現わすのだ。
2004年冬の弘前をゆく旅人は土手町の坂をついに見失い、カフカの見えない城のように、いつまでも弘前城にたどり着くことはなかった。
そんな吹雪の日、旅人は津軽の雪女を見たのだった。



# by lotusflower7 | 2020-12-12 12:21 | アートのせかい | Trackback | Comments(2)

弘前シネマ—水族館の夢

2005年10月弘前の老舗旅館の主人・石場創一郎さんの企画で「弘前建築座談会」が催された。建築評論家、植田実さんの指摘はとりわけ興味深かった。

一生一ヶ所に定住して外には出ないで人生の神話を作り上げる人がいる一方で、つねに世界を旅してそこから持ち帰った物語で人生の神話を作り上げる人がいる

ヴァルター・ベンヤミン


弘前建築ツアーで、バスはさながら迷路をぬって走ってゆく。江戸、明治、大正、そして現代までのさまざまな時代相が歩いてゆける範囲に奇跡といっていいほど凝縮している。そこに三次元を超えた第四次元の迷宮都市をかいまみた。
前川国男の戦前の傑作「木村産業研究所」戦後の代表作「弘前市民会館」そして藤田別邸洋館(1932)毛綱毅曠の、風水を反映した「中三デパート」北海道の懐かしさもある煉瓦造「スペースデネガ」を見た。


そして、その昔弘前公園には水族館があった。見えない城(カフカ)へ向かって山の稜線をゆっくりと上がってゆく土手町はいつしか光の回廊(シリンダー)になる。宮沢賢治の『青森挽歌の一節』が木霊する。

こんなやみよののはらのなかをゆくときは
客車のまどはみんな水族館の窓になる


生と死のはざまから反転する風景のヴィジョンが出現する。それは水族館の夢、ガラスの界面のなかの水(aqua)/(vision)であった。
弘前の都市空間は、建築を書物を読み解くように旅するボルヘス/ピラネージ流の迷宮(ラビリンス)=書物(ビブリオテック)の時空へといざなう。
そしてこのまちの顔、土手町のひかる列車の窓の回廊はほんの一篇の映像/詩をかいま見せる。いまはないひろさき公園の水族館の追憶が甦る。

時は流れて、この度、コロナ禍の中、丹沢美術館の「ハート展」に、弘前シネマの写真作品三点を出展することになりました。





# by lotusflower7 | 2020-12-12 11:17 | シティのせかい | Trackback | Comments(2)
「私のそら」新装版のお知らせ_d0341616_23033203.jpg
アート写真
季節は巡り、列島もようやく梅雨明けしましたが、お元気でお過ごしですか?
この度、「私のそら」新装版を作成しました。私の写真作品&エッセイで構成したオリジナルフォトブックです。
今回は不思議な水空間と硝子に映る都市空間をテーマ性を主軸に、
2014年、丹沢美術館の「Aqua展」、2016年、ギャラリーぜんの「私のそら展」、2018年、丹沢美術館の「魚眼都市」展
に出展した作品などで構成しました。
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「私のそら」新装版のお知らせ_d0341616_13130761.jpg
今回も、デジタル作品で、しまうまプリントで作成して、全32ページです。¥1000 + 送料(スマートレターの、¥180)合計、¥1180 でお分けします。もしよければメッセージで住所等を知らせて下されば、お送りいたします。



# by lotusflower7 | 2020-08-02 09:51 | フォトのせかい | Trackback | Comments(0)
更新を通知する
アート写真
季節は巡り、列島も梅雨明け近くなりましたが、お元気でお過ごしですか?
この度、しばらく品切れになっていた、私の写真作品&エッセイで構成したオリジナルフォトブック「私のそら」初版を作成しました。
フォトブック「私のそら」のお知らせ_d0341616_11375772.jpg
2014年、丹沢美術館での「Aqua展」、2016年、ギャラリーぜんでの「私のそら展」、2017年、丹沢美術館での「回顧から再生へ」展
に出展した作品などで構成しました。
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不思議な水空間と硝子に映る都市空間をテーマに、うちにいた猫「花」「千佳」、二宮の落花生工場もあります。
フォトブック「私のそら」のお知らせ_d0341616_11412989.jpg
今回は、デジタル作品で、しまうまプリントで作成して、全32ページです。¥1000 + 送料(スマートレターの、¥180)合計、¥1180 でお分けします。
フォトブック「私のそら」のお知らせ_d0341616_11425017.jpg
もしよければメッセージで住所等を知らせて下されば、お送りいたします。


# by lotusflower7 | 2020-07-25 11:31 | アートのせかい | Trackback | Comments(0)
明日から埼玉県立近代美術館で猫とも新聞主催「猫(きみ)がいてよかった2020」が始まります。1月21日(火)~26日(日)までです。
私も、アイちゃんの生まれた家の猫たちの写真を三点出展してます。ぜひ見ていただければ嬉しいです🐱
猫のいる世界は、ほっこり幸せな人生のひとときを運んで来ます。
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# by lotusflower7 | 2020-01-20 19:40 | フォトのせかい | Trackback | Comments(0)

花のまなざしから、こころに響くアートのセカイ、描きます 


by HANA