弘前シネマ—水族館の夢

2005年10月弘前の老舗旅館の主人・石場創一郎さんの企画で「弘前建築座談会」が催された。建築評論家、植田実さんの指摘はとりわけ興味深かった。

一生一ヶ所に定住して外には出ないで人生の神話を作り上げる人がいる一方で、つねに世界を旅してそこから持ち帰った物語で人生の神話を作り上げる人がいる

ヴァルター・ベンヤミン


弘前建築ツアーで、バスはさながら迷路をぬって走ってゆく。江戸、明治、大正、そして現代までのさまざまな時代相が歩いてゆける範囲に奇跡といっていいほど凝縮している。そこに三次元を超えた第四次元の迷宮都市をかいまみた。
前川国男の戦前の傑作「木村産業研究所」戦後の代表作「弘前市民会館」そして藤田別邸洋館(1932)毛綱毅曠の、風水を反映した「中三デパート」北海道の懐かしさもある煉瓦造「スペースデネガ」を見た。


そして、その昔弘前公園には水族館があった。見えない城(カフカ)へ向かって山の稜線をゆっくりと上がってゆく土手町はいつしか光の回廊(シリンダー)になる。宮沢賢治の『青森挽歌の一節』が木霊する。

こんなやみよののはらのなかをゆくときは
客車のまどはみんな水族館の窓になる


生と死のはざまから反転する風景のヴィジョンが出現する。それは水族館の夢、ガラスの界面のなかの水(aqua)/(vision)であった。
弘前の都市空間は、建築を書物を読み解くように旅するボルヘス/ピラネージ流の迷宮(ラビリンス)=書物(ビブリオテック)の時空へといざなう。
そしてこのまちの顔、土手町のひかる列車の窓の回廊はほんの一篇の映像/詩をかいま見せる。いまはないひろさき公園の水族館の追憶が甦る。





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Commented by アーティストMary at 2011-05-06 07:24 x
建築物 とても素敵ですね
撮り方で雰囲気を作ることができるのですね

自然の風景は 写真におさめなくても
美しい場合が多いですが
建築物は 写真で凄く変わると思います☆
お写真で見たほうが 癒される気がしました☆
美しいと 思います

Commented by 蓮華 at 2013-03-29 21:43 x
> アーティストMaryさん、コメントありがとう!
建築物は都市をいつも新しく造作する、市民の無意識の構成作品です。
移ろいゆく季節の中で千変万化する、心のハーモニーを映し出します♪

by lotusflower7 | 2014-03-03 22:35 | シティのせかい | Trackback | Comments(2)

花のまなざしから、こころに響くアートのセカイ、描きます 


by HANA